水性塗料とは?水に濡れると塗装が落ちてしまうって本当?メリットやデメリットを紹介!
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水性塗料とは

水性塗料とは、希釈剤として水が使われている塗料の総称です。塗料は顔料や合成樹脂などの成分を希釈剤で伸ばして塗装しやすいようにして製造されます。用いられる希釈剤によって塗料の性質は大きく変わります。

水性塗料は希釈剤として水が用いられており、塗料としての性質も水に由来する特徴が見られます。水に近い特徴のある水性塗料は、扱いやすさが大きな特徴です。安全性も高いことから、DIY用途にも広く使われています。

水性塗料のメリット

水に近い特徴のある水性塗料は、扱いやすさと安全性の高さが特徴です。塗料としてのメリットも、扱いやすさと安全性に関わるものが多いのが特徴です。水性塗料のメリットを正しく知ることで、上手な使い方や最適な塗装方法などが理解できます。

この機会に、業務用としても広く用いられている水性塗料の良いところを知っておきましょう。

価格が安い

水性塗料のメリットのひとつに価格の安さがあります。シンナーなどの溶剤に比べると、水は圧倒的に安いため製造コストが安く抑えられることから販売価格も安価です。壁面塗装など大量の塗料を必要とする場面でコストを削減するには水性塗料の安さは大きな魅力となります。

DIY用途など、少量のみ塗料を使いたいときも安価な水性塗料なら気軽に使えます。小量であれば、子どものお小遣いでも無理なく購入できるほどです。

耐久性に優れている

水性塗料は、優れた耐久性が期待できます。水性塗料は耐久性が今ひとつ、というのが一昔前までのイメージでしたが、最近は技術が進歩し耐久性が飛躍的に向上しました。

以前は油性塗料と比べて半分以下とされてきた耐久性も、現在では肩を並べるレベルにまで改善されています。塗装後も十分な耐久性が長時間維持されるので、建物や資材の保護用塗装にも十分使えます。

ニオイが少ない

水性塗料はニオイが少なく、不快感がありません。塗料独特のニオイの原因は、希釈剤として用いられているシンナーやトルエンなどの溶剤が原因です。油性塗料とは違い、希釈剤に溶剤を使用しない水性塗料はほとんど香りがしません。

ニオイのこもりやすい室内でも問題なく使用可能です。油性塗料では塗装完了後に負いが落ち着くまでにある程度時間がかかりますが、水性塗料は塗装後もほとんどニオイが気になりません。塗料の匂いで気分が悪くなってしまう体質の人でも安心です。

中毒の心配がない

塗料の中には含まれている成分によって中毒を引き起こしてしまうものがありますが、水性塗料を使用する場合には、基本的に中毒の心配はありません。塗料が中毒を引き起こす主な原因は、油性塗料に使用されている溶剤です。長時間、有機溶剤のニオイをかぎ続けると

・頭がクラクラする
・気分が悪くなる

などの中毒症状になる危険性があります。水性塗料には有機溶剤が使用されていないので体調不良にはならず、最低限の換気しかできない現場でも安全に塗装作業を行えます。

可使時間が長い

水性塗料は可使時間(正常に塗装できる時間)が油性塗料に比べて長めです。揮発性の高い油性塗料は可使時間が短く、基本的には当日中、それも開栓から数時間以内に使い切る必要があります。

可使時間を過ぎると、定着が悪くなったり色ムラができたりするため、油性塗料を用いる場合は手早く作業する必要があります。一方で水性塗料は開栓後もフタをして保管すれば翌日でも問題なく塗装できます。

広い面積をひとりで塗装するときなど、2日以上かかる作業では長持ちする水性塗料が便利です。

保管が容易

水を主成分とする水性塗料は、保管に特別な手間がいらず簡単です。油性塗料の保管は溶剤の揮発によるニオイ環境への影響を考えなくてはならず、高い引火性があることから防火対策も求められます。

それに対して水性塗料は性質的にほとんど水に近いので、そのまま保管しても安全です。大量の水性塗料を保管しても安全なので、管理コストを安く抑えることもできます。

乾燥に強い

希釈剤として大量の水を含んでいる水性塗料は、乾燥にとても強いのが特徴です。塗料は塗装後、乾燥させて定着させる必要があるため、基本的には乾きやすいように成分が調整されています。

気温が下がるほど塗料は乾燥で変質しやすくなりますが、水性塗料は5度以下の低温でもほとんど変質をしません。乾燥性そのものは非常に優れているので、塗装後は短時間でしっかり乾燥して強固な塗膜を形成します。過度の乾燥による剥がれやヒビの心配は不要です。

引火せず、安全性が高い

水に近い性質を持つ水性塗料は、引火の恐れがなく安全です。油性塗料に含まれる有機溶剤は非常に燃えやすく引火しやすいので、火気の取り扱いには十分な注意が必要です。過去には、作業現場で使用されていた工具が原因で塗料から揮発し、充満した溶剤に引火したという事故も報告されています。

引火の恐れがない水性塗料は安全に保管出来るだけでなく、火に近い場所の塗装として使用しても安全です。防火、防災のために水性塗料の使用が推奨される場面も多く見られます。

DIYに気軽に使用できる

安全性が高く取り扱いが容易な水性塗料なら、DIYにも気軽に使用できます。水性塗料は準備も片付けも簡単です。専用の道具がそろっているプロの現場とは異なり、DIYでは準備と片づけが一番面倒な作業です。

水性塗料なら準備と片づけに手間がかからないので、気軽に塗装作業に挑戦できます。手についても石鹸で洗えば簡単に落ちるのも嬉しいポイントです。

VOCを大幅に削減できる

環境保護が叫ばれる中で、塗料業界にも厳しい目が向けられています。ガソリン車の排気ガスに対して二酸化炭素排出量が問題視されるように、塗料に対しても希釈剤として使用される揮発性有機化合物(VOC)の削減が求められています。

水性塗料はVOCを全く含まない、環境にやさしい塗料です。VOCの削減を求められる中、油性塗料から水性塗料への置換えが進むことでVOCの大幅削減が期待されています。

1液性の塗料が多い

水性塗料はほとんどが1液性です。開栓したら混合作業不要でそのまま塗装できるので、手間がかからず簡単に使えます。業務用の油性塗料のほとんどは原液を溶剤で希釈して使う2液性の塗料です。

油性塗料は1液型だとすぐに変質してしまうため長期保存がきかないことから原液と希釈剤が分けられていますが、水性塗料は最初から混合された状態で出荷しても長期保管に影響がありません。面倒な混合作業なしで使えるので、DIY用途として適しています。

水性塗料のデメリット

水性塗料には多くのメリットがある一方、デメリットがあることも無視できません。デメリットがあるからといって、水性塗料の価値が低いと考えるのはあまりにも短絡的です。

デメリットを正しく理解すれば、水性塗料に向いている使い方や使用するのにふさわしい場面が明らかになります。デメリットを知ることが、水性塗料を使いこなす第一歩です。どんな点に注意すればいいのか、きちんと知っておきましょう。

塗膜の寿命が油性塗料よりも短い

水性塗料の耐久性は塗料メーカーの努力により年々改善が進んでいるものの、油性塗料に比べれば一歩劣ります。塗膜の寿命は油性塗料よりも短く、塗り替え頻度も増えてしまいます。油性塗料は含まれる有機溶剤によって強固な塗膜が形成されますが、水性塗料は溶剤が含まれていないため耐久性は下回ります。

一昔前に比べれば塗膜の強さも耐久性も向上していますが、油性塗料にはいまだ及ばないのが現状です。ただし、塗膜の寿命は同じ水性塗料でも製品やグレードによって差があります。中には、油性塗料よりも耐久性に優れる水性塗料もあるので注意しましょう。

素材によっては塗布ができない

水性塗料の性質は水に近いので、水分を弾く素材とは相性が悪く、素材によっては塗布できないことがあります。防水加工が施されているプリント合板などは水性塗料が不向きです。

ワックスなどの油分が含まれている素材も水性塗料では塗装できません。水性塗料が不向きな素材でも、先に下地塗料を塗装することで塗装が可能になります。ただし、下地塗料と水性塗料の相性もあるので事前に塗装可能な組み合わせか確かめておきましょう。

ツヤが落ちやすい

水性塗料はくっきりした艶のある塗装面に仕上がりますが、艶の持ちについては注意が必要です。水性塗料のツヤは油性塗料に比べて落ちやすく、せっかくツヤ有り水性塗料を使って塗装しても、短期間で見た目が悪くなってしまう可能性があります。

特に、風雨や外気温の変化にさらされる屋外の塗装ではツヤが長持ちしません。環境によっては1年持たずにツヤが消えてしまうこともあります。

低温での施工が難しい

水性塗料は温度変化に強いものの、あまりにも低い温度だと硬化性能が著しく低下し、施工が難しくなります。寒冷地での作業だと十分な性能を発揮できず、施工に支障をきたすおそれがあるので注意してください。

水性塗料の性質は水に近いため、水が凍る0度以下では変化が顕著です。水以外の成分も含んでいるので水性塗料が凍ってしまうことはありませんが、気温が低い現場は水性塗料には不向きです。

塗装時の雨に弱い

水性塗料は乾燥後は強い耐水性を発揮しますが、乾燥前は水分に弱いので塗装時に雨が降ってしまうと塗料が流れてしまう恐れがあります。雨天時は基本的に作業ができないので晴天時を選んで作業しなくてはならず、施工可能日が限られてしまうのは大きなデメリットです。

わずかな雨でも乾燥前の塗装面にかかると塗料が流れて色ムラになってしまいます。見た目が悪いだけでなく、耐久性にも影響が出てしまいます。最近は、雨天時でも使用できる特別な水性塗料が発売されています。梅雨時などに作業せざるを得ない場合は、雨天対応水性塗料を使用してください。

水性塗料と油性塗料の違い

水性塗料と油性塗料の違いは、希釈剤の成分に由来しています。水を使う水性塗料は性質が水に近く安全性が高い一方で、有機溶剤を使用する油性塗料は有機化合物の取り扱いに注意が求められます。

油性塗料は取り扱いが難しいのが難点ですが、耐久性に優れ、水性塗料は簡単い取り扱える代わりに耐久性はやや見劣りします。業務用では油性塗料が主流ですが、環境にも健康にも優しい水性塗料が使用される場面は増えています。塗料としての性能と環境に与える影響を比較して上手に使い分けましょう。

水性塗料は水に濡れると塗装が落ちる?

水性塗料という名称から、水に濡れると塗装が塗れるのでは?と心配される方もいますが、水性塗料でも十分に乾燥して塗膜が形成された後は高い耐水性が発揮されます。乾燥後は、水に濡れても塗装が落ちる心配はありません。

乾燥前の水性塗料は水で流れるので、作業時に雨が掛かると流れてしまいます。この性質のおかげで、手についた塗料も乾燥前であれば石鹸と水で簡単に洗い流せます。

水性塗料が分離している時の対策

水性塗料を長期間放置すると、水に溶けていた顔料や樹脂が沈殿し、分離してしまいます。分離しても性能には変化がなく、再び混合することで使用可能になります。缶を振ったり、棒などでムラ無くかき混ぜてください。

長期保管するときは、定期的に缶を動かすと沈殿による分離を防止できます。

水性塗料を塗装できる条件

水性塗料を塗装するためには、条件を満たす必要があります。

  • 外気温が5度以上
  • 対象の素材が水分をはじいたり吸収したりする性質を持っていない
  • 晴天である(雨がかかる恐れがない)

この3つの条件をクリアしていれば、水性塗料で塗装が可能です。

水性塗料が塗りにくい場合

水性塗料が塗りにくい場合は、原因を調べて対処する必要があります。低温が理由で塗りにくい場合は、作業場所を移して温度を上げるのが効果的です。外壁など、作業場所を移せない場合は低温でも使える油性塗料などを使う他ありません。

素材の性質が理由で塗りにくい場合は、下塗り材を使用しましょう。下塗り専用の塗料で塗装すれば、素材の性質に関わらず水性塗料で塗装できます。雨が降って塗りにくいときは、雨天対応の水性塗料を使用しましょう。雨が止むまで待つのが一番簡単ですが、雨天対応塗料なら、多少の雨には影響されずに塗装可能です。

水性塗料の保管方法

水性塗料を保管するときは、しっかりとフタを閉め、外気に触れないようにしてください。蓋を閉めた塗料は、温度変化の少ない冷暗所に保管することで長期間保存できるようになります。

極端な高温や低温、直射日光は塗料を変質させる可能性があるので避けてください。引火の恐れはほとんど無いので、特別な防火対策は不要です。

水性塗料が余ってしまった場合の処分方法

水性塗料が余ってしまった場合は、容器に戻して保管してください。正しく保管すれば、再利用が可能です。塗料がわずかに残ってしまった場合は、古新聞などに染み込ませることで一般ごみとして処分可能です。

ある程度の量を処分したいときは、専用の残塗料処理剤を使いましょう。残塗料処理剤を余った塗料に混ぜて撹拌すると、塗料が粘土状にかたまります。十分に乾燥させたら、一般ごみとして処分してください。

「水性だから」といって下水に流してはいけません。環境破壊の原因になる上、下水の中で塗料が固まり、詰まってしまう恐れがあります。

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