塗料の「希釈」とは?希釈率の計算方法や希釈をするための手順を解説
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Pay
こんにちは!Payです。

塗料の希釈とは?

塗料を水やシンナーなど(「薄め液」「希釈液」「希釈剤」と呼びます)で薄める行為、それが塗料の希釈です。塗料は、そのままでも使用できる場合があるものの基本的にそれらによって薄めることで塗りやすさを高めます。塗りやすさ以外に気温や湿度に合わせて濃さを調整すると言うのも目的です。

濃さや塗りやすさを得ること目的が一般的ですが、第三の目的として専門的にはピンホールと呼ばれる塗膜に小さな穴があく塗りムラの一種を予防することや、ホース・スプレーガンの穴を通りやすくして吹き付け塗料のために適した濃度を設定する目的でも行われます。

希釈は粘度の調整を行う行為ですが、高くても低くてもメリットやデメリットがあります。例えば、粘度が高いと塗料の垂れはなくなりますが、ムラが出やすくなりますし、低いと塗りやすいですが、垂れて来るといった具合です。このような特徴があるため、粘度の設定はとても重要なのです。

希釈率に幅がある理由

希釈率の目安を見ると塗料シンナーで15~20%といったように幅があります。その理由は先ほど触れた塗りやすさ、ホースやスプレーガンと言った機器の選択と言ったもの以外に気候が大きなものを占めているのです。夏は湿度が高く、気温が高いため塗料も温まってさらさらしています。

そのため希釈率は少なめで作業が可能です。一方冬は湿度が低く、気温も低いため塗料が固まっているような印象を受ける位粘度が高まっていることが多く、希釈率を高める必要があります。

単に塗りやすさや使用する機器(刷毛、ローラー、ガンなど)の選択で希釈率を変えるだけでなく、こういった作業環境を加味した希釈率を求められることがほとんどです。

希釈率を守らなかった場合

希釈率を無視して、不適切な希釈率で塗料を希釈した場合、施工不良や塗料の機能を発揮できないといった不都合が起こります。施工不良は、先ほど触れたピンホールや塗りムラ、塗料の垂れと言ったものが挙げられ、塗装工事の致命的な欠陥につながることが少なくありません。こういった施工不良もありますが、塗料の機能が発揮できないという重大な問題が発生します。

下地への浸透力が発揮できず剥離を起こしてしまったり、近年注目されている遮熱塗料などの場合は、肝心の遮熱機能を発揮できなくなってしまうのです。

このようなことが起こると、施工して数か月で施行箇所が剥がれて来たり、遮熱塗料に塗り替えたのに、以前よりも室内が熱くなるといった問題が発生します。いずれにしても塗装工事として、深刻な問題を引き起こす原因になるため、希釈率の順守は塗装工事の基本です。

塗料によって異なる希釈剤の種類

塗料によって希釈剤が異なります。例えば、水性由来の製法で作られた水性塗料であれば水で薄めますし、フタル酸塗料やラッカー塗料のような溶剤塗料(油性塗料)であれば塗料シンナーや専用の薄め液を用いるのが基本です。言い換えれば、それぞれに逆の希釈剤を用いてもきちんと希釈されることはありません。

溶剤塗料の場合

今触れたフタル酸塗料やラッカー塗料の希釈剤をもう少し詳しくお話ししていきましょう。これらは希釈剤としてシンナーが基本的に用いられます。ただ、このシンナーにも種類があり、溶剤(強溶剤)と比較的刺激が少ない弱溶剤に分類されています。

強溶剤はアクリルシンナー、ラッカーシンナー、ウレタンシンナー、エポキシシンナーと言ったものが挙げられます。そして、これらは強溶剤塗料に用いられ外壁をはじめとした屋外の塗装や防水性、耐久性を求められる用途に利用されていました。

過去形なのは人にも環境にも望ましくないということで、近年は徐々に削減の方向に進んでいます。一方、現在置き換わりつつあるのが塗料用シンナーAなどの塗料シンナーで、一般的に弱溶剤と呼ばれるものです。

塗料専用に作られた人体への影響が少ないシンナーで薄めて使用するのが特徴です。ちなみに塗料用シンナーはガソリンや灯油に近く、「ペイント薄め液」とも呼ばれています。弱溶剤塗料に使用し、刺激臭も少ないのもメリットです。

水性塗料の場合

水性塗料は水で希釈する塗料です。現場や事業所で調達できる水道水を用意すれば希釈できる便利な特徴の塗料でもあります。そんな水性塗料は、シンナーを使用せずに利用できる塗料で環境や保管、コストの面でメリットがあります。

環境については、刺激臭が少ないため気分が悪くなりにくく、塗料による有害性も溶剤塗料に比べて、低く抑えられている点が特徴で、保管も簡単というメリットがあります。

シンナーの同時保管が不要なこと、発火性も少ないことなどから管理者の負担も大幅に減るのです。コストも安く、溶剤塗料よりも10%以上安価なことも珍しくありません。雨の日に塗りづらい、寿命が短めといった弱点があるものの周囲にも使用する側にも優しい塗料と言えます。また、和風のマットな外観(艶のない発色)にしたいときは水性塗料の使用が最適です。

VOC削減と、溶剤塗料から水性塗料へのトレンド(コラム)

今、世界ではCO2削減と同時にVOC削減が叫ばれています。このVOCとは揮発性有機化合物(VolatileOrganicCompounds)の略称のことで、今回の話題で言えば塗装に使用するシンナーが該当します。このVOC削減に対して業界も対応をおこなっており、世界中の塗装業界で強溶剤塗料から弱溶剤塗料へのシフトが行われているのがトレンドです。

弱溶剤もシンナーの一種であるという観点から、さらに一歩進んで水溶性塗料、さらにシンナー類を一切使用しないVOCフリー塗料が販売されています。

このVOCフリー塗料を使用することで、VOCによる有害性も大幅に低減され、シックハウス症候群の発症を抑えることも期待可能です。また、先ほど触れた水溶性塗料の弱点であった耐久性も技術の進歩により高寿命化してきています。

塗料の希釈方法

これまで、希釈の種類やメリットなどをお話ししてきました。では、実際に塗料の希釈とはどのように行うのでしょうか。ここでは、その方法について流れや計算方法などを中心にまとめていきます。それでは希釈率の確認方法から紹介しましょう。

希釈率の確認方法

最初に導入する塗料の希釈率を確認します。この希釈率、パッケージにも記載がありますが、確実なのはメーカーのカタログです。近年はネットなども確認ができますから、そういった手段で調べるのも良いでしょう。ただ、表示されている希釈率は幅があります。

手塗り工法、拭き付け工法など手法によって異なるので、その点もチェックしましょう。次に施工する季節、特に気温を元に高温時は希釈を少なめに、低温時は多めにと言った形で調整します。

この気温を元に希釈率の程度を上か下かを大まかに推測することが可能です。また、希釈不要の0%記載の塗料であっても0~10%と記載があるものが多く、気温や手段によって希釈する必要があります。

希釈剤量の計算方法

希釈剤量の計算方法も抑えておきましょう。計算式は「ベース容量×希釈率=希釈量(用意する希釈剤の量)」で求められます。例えば10㎏の塗料を希釈率5%で希釈したい場合は、500gの希釈剤の量を用意すればいいという計算です。ベース容量はgでなくともmlで計算しても求めることができます。

ただ、計算で産出された希釈量もmlになりますから、単位に注意してください。例えば、水性塗料10,000ml(10L)を希釈率5%で希釈したい場合は水500ml(0.5L)と用意すると言った要領です。

算出されたものがgなのか、mlなのか、それをしっかり押さえた上で用意するようにしましょう。また、リットル(L)表記も多いので、1L=1,000mlということを忘れないようにするのもポイントです。

塗料と希釈剤を混ぜ合わせる

基本的な流れとして最小量の希釈剤の投入し撹拌、徐々に求めた希釈量の希釈剤を投入し撹拌、最適な粘度で使用するという形になります。最初にいきなり先ほど求めた量の希釈剤量を投入することをせず、最低の希釈率で希釈剤を加えていきましょう。これは、計算した希釈剤を投入したら、想定以上に粘度が低かったというトラブルを未然に回避するためです。

そののちに、少しずつ残りの希釈剤を投入して撹拌します。そうしてちょうど良い粘度が確保されたら、その希釈量で利用しましょう。例えば0~10%の水性塗料で5%の希釈をしたいと考えます。

まず、いきなり5%の水を入れるのではなく0%で粘度を確認し、そこから徐々に水を加えていくという具合です。

硬化剤の容量計算ツール

硬化剤の容量を簡単に計算できるツールを用意しました。お気軽にご利用下さい。


ベース容量を入力してください。(g)

ベース比率を入力してください。(半角数字)

硬化剤の比率を入力してください。(半角数字)

硬化剤の容量は、???グラムです!

シンナーの容量計算ツール

シンナーの容量を計算するツールを用意しました。お気軽にご利用ください。


ベース容量を入力してください。

シンナーの希釈率を入力してください。

シンナーの容量は、???グラムです!

まとめ

塗料は多くの場合、希釈という操作を行ってから塗装を施工します。この希釈には水などで希釈する水性塗料やシンナーを使う溶剤塗料に分けられ、溶剤塗料は更にシンナーの種類によって強溶剤塗料や刺激性の少ない弱溶剤塗料に分けられます。

これらを使って希釈し、施工不良やスプレーの目詰まりを予防するのですが、近年は希釈剤、特にシンナーなどにおいてVOC削減と言う動きが起こっているのが現状です。

そのため、徐々に水性塗料などのVOCフリー塗料に切り替わっていくという話題もあります。そんな流れではありますが、希釈量の計算は変わりませんし、希釈の方法も変わりません。まずは基本となる方法を理解して、塗料を希釈しきちんとした施工が行えるようにしましょう。

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